藻類は、田んぼで育つか?

 湖やお城のお堀に、アオコが大発生して困ったという話をよく聞きます。一方、水田では、アオコが発生して困ったという話はあまり聞きません。どうしてでしょうか?

 アオコとは、一般的に、シアノバクテリアのMicrocystis属に属する単細胞性の微細藻類を示しますが、アオコの一番の天敵は、「ミジンコ」です

​ ミジンコは、その天敵である魚が比較的少ない水田で大増殖しますので、シアノバクテリアや珪藻、ミドリムシなどの小さな藻類はすぐに捕食されます。水田で藻類を栽培することは、意外に難しいのです。

 私たちは、水田で栽培できる藻類として、イシクラゲ(学名:Nostoc communeに注目しています。イシクラゲも、シアノバクテリアの一種ですが、一番の特徴は、を持つ数センチのコロニーを形成することです。この殻のおかげで、ミジンコには捕食されません。イシクラゲのもう一つの重要な特徴は、空気中の窒素ガスをアンモニアに変換する能力(窒素固定能)です。この能力のおかげで、イシクラゲの栽培に窒素肥料を必要としません。これによって、コストやコンタミ軽減できますし、温室効果の高いN2Oの発生が軽減できるなど、メリットは大きいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 しかし、イシクラゲの殻は、しばしば溶けてしまい、ミジンコに突破されてしまいます。よって、我々は、イシクラゲの育種に取り組み、丈夫な殻を持ち、生育速度(二酸化炭素固定能)の高い株の創出を目指してます。

 

 

 

 

 

 これまでに、我々は、イシクラゲのコロニーを人工的に作り出すことに成功しています。このノウハウを応用して、突然変異導入と選抜を繰り返すことで、育種を試みています。さらに、イシクラゲの遺伝子改変技術や遺伝子交配技術にも挑戦しています。

3週間ほどの液体培養で、イシクラゲコロニーは直径数センチに成長します。

水槽で培養中のイシクラゲコロニー。色や形が、とてもきれいです。

圃場の水田で培養中のイシクラゲコロニー。殻があるため、ミジンコに食べられません(殻が壊れると、食べられてしまいます)。

水田でも3センチくらいになるコロニーもいます。しかし、中身がほとんど水分です。今後、中身に糖質をしっかり詰め込んだ株を創出したいと思っています。

研究テーマの概要

再エネ水素と微生物による二酸化炭素固定

クロロフィルを用いた​油分解処理方法

 

窒素固定シアノバクテリアの​野外培養

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