水素やギ酸を餌として食べる微生物

 光合成は、二酸化炭素を糖(グルコース)として固定化する反応であることはよく知られています。しかし、光合成を行わない微生物も、二酸化炭素を固定化している事実はあまり知られていません。

 二酸化炭素の固定化とは、二酸化炭素の還元のことです。そして、還元とは、水素Hが結合することです。つまり、二酸化炭素に水素Hが結合すれば、固定化されたことになります。例えば、糖の化学式はC6H12O6です。二酸化炭素の化学式 CO2と比べるとHがたくさん入っています(いくつかの酸素Oは、固定化の過程で水分子H2Oとして抜けています)。

 ところで、糖に入れられた水素Hはどこから来たのでしょうか? 

答えは・・・水分子H2Oから来ています。光合成では、光のエネルギーで2つの水分子H2Oから酸素O抜き出して、酸素分子O2として大気に捨てられます。その結果、水素Hが残されます。この水素Hが、CO2と結合して、C6H12O6を生じます。

 ここで気が付かれた方もいるかもしれませんが、水素Hがあれば二酸化炭素を固定化できるのです。一番、手っ取り早く水素Hを調達する方法は、水素分子H2を利用する方法です。実際に、水素分子H2を利用して二酸化炭素を固定化している微生物として、水素細菌やメタン生成菌が知られています。

 水素分子H2は、水分子H2Oの電気分解で合成することができます。電気分解の際に用いられる電気エネルギーは、太陽光や風力発電のような再生可能エネルギー発電から得られます。そして、再エネ発電のコストは、年々下がっています。水素分子H2の価格も、近い将来1キロ2~3US$程度になると想定されています。(注1)  この水素分子H2を利用して、微生物内で、常温常圧下にて二酸化炭素から有用物質に変換するというのが、本テーマの試みです。太陽光発電では、単位面積当たりで、光合成よりも多くの光エネルギーを吸収し、その結果、より多くの水素Hを生み出します。よって、再エネ発電と水素利用微生物の組み合わせは、光合成よりも高い効率で二酸化炭素を固定化できます。

 生産できる有用物質は、遺伝子組換え技術を利用することで、バイオプラスチックや、食品、化粧品、医薬品など様々です。このようなバイオプロセスは、比較的小規模の施設で可能ですので、様々な場所での生産(分散型生産)が可能です。例えば、それぞれの地域で、二酸化炭素の取り込みから商品化までを一貫して行える“自然エネルギーの6次産業化”が考えられます。

 当研究室では、水素細菌の探索やその低コスト培養法や、二酸化炭素の還元型であるギ酸HCOOHの資化菌の探索およびギ酸資化経路改変を行っています。

二酸化炭素固定菌培養実験の様子

研究テーマの概要

藻類による​二酸化炭素固定

クロロフィルを用いた

​油分解処理方法

 

​再エネ水素と微生物を利用した二酸化炭素固定

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